- 節句お役立ちガイド
- ひな人形編
上質な雛人形を見分けるポイント
丁寧に作り込まれ、上質で長持ちする「良い」雛人形を見分けるポイントを具体的にご紹介します。
顔・手足、衣装、すわり、お道具など、どこがどう違うのか読むことで理解することができるようになるでしょう。
- 1年に1度、お祝いのために飾る雛人形。
長く続く「良い」雛人形を見分けるポイントはどこにあるのでしょうか。この記事では、
そもそも良い雛人形とは何か
上質な雛人形の各パーツの特徴
あなたにとって「良い」雛人形
の順に説明していきます。
この記事を読み終わると、あなたなりの「良い」雛人形とは何かを理解し、店頭やネットで選択する際も迷わずベストなものを購入することができるでしょう。
良い雛人形とは?
見分け方を説明する前に「良い」雛人形はどのようなものなのか明らかにしておきましょう。
人によっては、
- 値段が安いわりに、クオリティが高いもの
- 長持ちして壊れにくいもの
- キャラクターとコラボしているもの
などそれぞれが持つ基準によって、「良い」雛人形の解釈は変わってきます。 今回の記事では、
- 丁寧に作り込まれている
- 上質であること
- 長持ちして壊れにくい
を「良い」雛人形と考えています。なぜなら、これらの雛人形は手作業で時間をかけて作られており、安価なものよりはるかに職人のこだわりが詰まっているからです。
「そうは言っても、具体的にどの辺りが異なるのかわからない。」というのが本音だと思います。
安心してください。
次の章では、丁寧に作り込まれ、上質で長持ちする雛人形を見分けるポイントをわかりやすく解説していきます。
上質な雛人形
顔や手足
雛人形を選ぶ際に、最初に見るべきポイントは、顔と手足です。
特に顔は、雛人形の印象を大きく左右する重要なパーツのため、注意深く観察して見る必要があります。
顔
顔に関しては、桐塑頭(職人手作りのお顔)と石膏頭(型から抜いたお顔)の2種類がメインの作り方になっています。
桐塑頭は、職人手作りの手間が非常にかかっているこだわり抜かれた顔です。全て手作業のため、その分時間と費用がかかり、人形によって顔や表情が微妙に異なるなどの特徴があります。
質感も独特のものがあり、歳を経るごとに味が出て深みが増します。桐の粉を固め、ハマグリやかきの殻から作られた胡粉で仕上げるという伝統的な製法で作られた頭です。
次に紹介するのが、型から抜いたお顔である石膏頭です。
型と言っても、工場で大量生産しているようなものではなく、型作りも塗り作業も目や口を掘る工程も全て手作業で行われています。雛人形によって表情にばらつきが出てしまわないように、いい表情を安定的に生産できる手法です。
掘り込みや細かい細工が無い点や、肌がテカテカしている点が桐塑頭の違いとしてあげられます。こちらの方が、職人手作りの顔よりも価格も安くなっています。
手や足
細かいパーツではありますが、手足に関しても「良い」「悪い」を見分けるポイントがあります。
手足も木製とプラスチック製の2種類があります。
木製は職人が手作業で掘ったもので、桐塑頭と同様に胡粉で塗りあげられています。手作業で丁寧に作っているので、指の一本一本がはっきりしている点が大きな特徴です。
一方でプラスチック製の手足は、石膏頭のように型から作られます。こちらも光沢があり、質感としてはツルツルとしています。
上質で作り込まれているのは、職人手作りの桐塑頭と木彫りの手足だということは覚えておくといいでしょう。
衣装
次に、衣装の見分け方を紹介していきます。
一番注目すべきは、衣装の生地です。主に、絹(正絹)、化学繊維、両者が混合したものの3種類があります。絹が一番高く、その中でも仕上がりがきれいな、「帯地仕立て」のものはより高価になっています。
生地以外には、着せ方にも違いが出てきています。
特に顕著なのがお雛様の衣装です。上質なものは、型崩れがしにくく、袖の最終ラインまで形がしっかり出るようになっています。
また重ねの配色も上質になればなるほど、バランスがいいです。あまり数多くの色は使っていないのですが、非常に綺麗にまとまっているのが上質な雛人形になっています。
すわり
顔や衣装など、人形のパーツを気にしがちですが、上質な人形はすわりも良いです。すわりとは、人形の座り方のことです。
すわりがいい人形は、どっしりとしており重心が安定した状態で座っています。
一方で、すわりがよくないものは、わずかな差ではありますが、重心が不安定でグラグラしているように見えます。
人形のパーツを一通り見終わった後は、人形のすわりにも注目してみてみるとわずかな差に気がつくかもしれません。
お道具
ここまで、人形の顔、手足、衣装そしてすわりの見分け方を説明してきましたが、もっと「良い」雛人形が欲しいという方向けに小道具のチェックの仕方をご紹介します。
わかりやすいもので言えば、扇子が開閉式かどうか、刀を抜けるか抜けないかなどは触ればすぐ違いに気づくでしょう。
屏風にしても、プラスチックのものから木製、漆塗りまで多種多様です。その中でも純金が施されているものは何十年も持ちます。
桜と橘などは、絹製の手切り・手染めが最も高価なものになっています。
お道具はあくまで人形の引き立て役ではありますが、こだわりの強い方は、作り込まれているものを選ぶと良いかもしれませんね!
本当に「良い」雛人形とは?
ここまで、「良い」雛人形の見分けるポイントを具体的に紹介してきました。
では、とりあえず高価で上質であれば「良い」雛人形なのでしょうか。良い素材に手の込んだ装飾、長持ちするものを買えば無条件に誰もが幸せになれる雛人形なのでしょうか。
おそらく違います。なぜならそれは、私たち作り手側が提供できる「良い」雛人形でしかありません。
一番大切なことは、「あなたがいつまでも大切にしたくなる雛人形を選ぶことが、最も重要」ということです。
まずは、価格。一生に何度もする買い物ではないため、無理して高価格なものを買いたくなるかもしれません。ですが、無理した結果、日々の生活を圧迫してしまう雛人形を買うのは本末転倒です。
それ以外には、サイズも重要です。部屋に置いていてストレスが溜まらないか、押し入れにしまうスペースはあるのかなど考えた上で、ベストな大きさを選ぶようにしましょう。
もし、娘さんやお孫さんのために雛人形を購入するのであれば、彼女たちが気に入って好きになってもらえるものであるということも大切です。
顔や衣装などのパーツに注目した「良い」とする雛人形の知識は頭に入れながらも、自分たちにとって一番「良い」雛人形を意識してみてください。
まとめ
いかがでしたか?
「良い」雛人形の見分け方を習得することはできましたか?
雛人形は、価格も高価なため、毎年毎年気分に応じて買い変えるようなものではありません。
生まれたお子さんが成人になるまで、もしかするとおばあちゃんから娘へ、そして孫へと長く受け続けられるかもしれません。
何度も買わないからこそ、丁寧に作り込まれた「良い」雛人形を長く使用することをおすすめします。長く使い続けることで、味わいや愛着が湧いてくることでしょう。
職人が手作りで1つ1つ思いを込めて作った雛人形、こだわり抜いた素材にバランスの取れた色合い。細かいパーツにこだわった人形達。
これらの「良い」雛人形を見分けながら、あなたにとって、そして娘さんやお孫さんにも「良い」雛人形を選び、素敵なひな祭りをお過ごしください。